「にがり」はダイエット効果なく、過剰摂取で健康被害も。その全容を解明します!

にがりダイエット

みなさん、「にがりダイエット」を知ってますか?
2003年にテレビ番組で取り上げられ、「にがりダイエット」が瞬く間に広まりました。「にがり水」をペットボトルで持参して飲んだり、にがりを数滴入れてお米をたいたりと、このダイエット法を信じて実践された方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、この「にがりダイエット」、数年後には耳にしなくなりました。いったい、どんな事情があったのでしょうか。
実は、このダイエット法は腎臓・血管などを害したり、にがりを過剰に摂取することで急性症状を起こす可能性もある危険なダイエット法です。
ここでは「にがりダイエット」の効果や危険性について詳しく紹介していきます。

にがりダイエットが流行した時期きっかけ

にがり水
「にがりダイエット」とは、食事とともに「にがり水」を飲んだり、食べ物にかけたりしてにがりを摂取して痩せるというダイエット法です。
2000年代前半(主に2003年ごろ)に本や雑誌・テレビで紹介され、瞬く間に「にがりダイエットブーム」となりました。

過去、番組内で紹介した「にがり」ダイエットでは、実際に番組を見て試した人が下痢などの症状を訴えることが相次いだため、後に厚生労働省からの警告が出ました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/発掘!あるある大事典

しかし医学的な根拠、文献がなく、ダイエット効果が確認されないことや、またマグネシウムの過剰摂取による健康被害も起こったことから急速に「にがりダイエット」は下火になりました。

(にがりは、「苦汁(にがり)」すなわち豆腐を作るときの凝固剤として使われている食品添加物です)

にがり水ダイエット」で信じられていた効果と原理とは

「にがり水ダイエット」がブームになっていた時期に、出版されていた書籍等を基に解説します。

「にがり水ダイエット」のやり方は、水1ℓに対して液状のにがり2~4㎖(茶さじ1/2~1杯程度)を加えて「にがり水」を作り、1日に0.3~1ℓを数回に分けて飲む(1回量は150ミリリットル程度)というもので、「丈夫な骨を作る」「ストレスに強いからだを作る」「飲んだり、肌に塗って美肌効果」「免疫力が高まりガンの増殖を抑制する」「アトピー性皮膚炎や花粉症、その他アレルギーを抑制」「歯周病の予防、改善」といった効果が挙げられていました。

また、「にがりはインスリンの分泌を抑えて血糖値の急激な上昇を抑制したり、血糖による脂肪細胞への蓄積が抑えられるためダイエット効果が見込まれる」「肥満の大敵である脂肪に対しても、にがりは膵リパーゼの働きを抑え、 腸内での脂肪を分解する働きを抑制し、最終的には腸内で分解・吸収されなかった脂肪が便と一緒に排泄される」「便を軟らかくしてお通じを良くし、便秘の改善に効果がある」「マグネシウムが脂肪燃焼をしてくれる酵素を補助する作用がある」など、多数のダイエット効果も挙げられ、書籍によっては実際に「にがり水ダイエット」で『やせた!』という実例も紹介されました。

※注意:あくまで書籍によるもので医学的な根拠があるかどうかはわかりません。ご注意ください。

3章.にがり水ダイエットの悲惨な実態

腹痛に苦しむ女性
「にがり」の主成分のマグネシウムはそもそも「下剤」に含まれる成分です。
便秘ではない人が飲むと、下痢に悩まされることになります。
「にがりダイエット」が流行ったころ「ダイエット効果あり」という口コミは、にがりによる下痢で一時的に体重が減少しただけだったのではないでしょうか。

また「にがり」を原液で飲んだり「にがり水」を過剰摂取すると、血液中のマグネシウム濃度が非常に高くなり、高マグネシウム血症を発症して脱力感、低血圧、呼吸障害を引き起こし、重症になると心停止になることもあるといわれています。

実際、2004年には「にがりダイエット」を実践してマグネシウムを飲み過ぎた人が、危篤になり心肺停止に陥ったり、死亡してしまうという事故が起きています。その年に、独立行政法人 国立健康・栄養研究所が、「誤解されている健康情報の事例」としてにがりの危険性を挙げ、「にがりのダイエット効果」はいずれも確実な根拠・文献等がないとの見解を出しました。

このような経緯から「にがりダイエット」のブームは過ぎ去ってしまったのです。

4章.にがりの主成分「マグネシウム」が身体に与える影響とは?

 そもそも「にがり」は海水から塩を取り除いた残りの液体で、主成分は「塩化マグネシウム」という「ミネラル」です。その他の主な成分としては「カリウム」「ナトリウム」「カルシウム」などのミネラルで、リンや鉄、亜鉛などもわずかに含有されています。
主成分であるマグネシウムの生理作用を見てみましょう。

マグネシウムの生理作用

  • 筋収縮
  • 骨の弾性維持
  • 神経伝達
  • 体液のバランス維持
  • ホルモン分泌(活性発現)
  • 300種類以上の酵素反応の補酵素として働く
    (体内のほとんどの生合成反応や代謝反応に不可欠)

マグネシウムは、過剰に摂取すると前章で説明した通り体に悪影響を及ぼしますが、欠乏したときも下記のような症状があらわれます。

 マグネシウムが欠乏すると

  • 低マグネシウム血症
    (吐き気、嘔吐、眠気、脱力感、筋肉のけいれん、ふるえ、食欲不振など)
  • 長期にわたる不足がリスクを高めることが示唆されている病気
    (骨粗鬆祖、心疾患、糖尿病等の生活習慣病など)

マグネシウムは、ストレスで失いやすく不足する場合があります。補給する場合、サプリメントなど通常の食品以外からの摂取量の耐容上限量は、成人で 350mg/日、小児では 5mg/kg 体重/ と厚生労働省から出ているので、摂り過ぎに注意しましょう。

日本人の食事摂取基準(2015年版)
マグネシウムの食事摂取基準(mg/日)

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf(P32)


マグネシウムを含めミネラルを摂取することは大切ですが、その場合はバランスが重要です。一つの栄養素だけを過剰に取りすぎるのは良くありません。特にマグネシウムはカルシウムと対になって働くことが多いため、マグネシウムを増やすときはカルシウムの摂取量にも気を配る必要があります。

5章.食事でマグネシウムなどのミネラルをバランスよく摂る方法

マグネシウムは体内で合成できず、食品からしか摂ることができないミネラルです。
「にがり水ダイエット」を紹介してきたため、デメリットが目立ってしまいましたが、マグネシウムは決して悪ではなく、適量のミネラル補充はダイエットには欠かせません。過剰摂取を防ぐためにもサプリなどに頼らず、きちんと食品から摂るようにして健康的なダイエットを行いましょう。

【マグネシウムを多く含む食品】

一食の量あたりにマグネシウム含有量が多い食品

  • 丸干しいわし
  • 干しえび
  • きんめだい
  • 牡蛎(かき)
  • ひじき
  • アーモンド
  • カシューナッツ
  • 落花生(ピーナッツ)
  • ほうれん草
  • つるむらさき
  • そば
  • 玄米ごはん
  • 胚芽ごはん
  • ゆで大豆
  • 豆乳

もし、疲れやすさなどを感じたら、マグネシウム不足かもしれません。
食事に工夫をしてマグネシウムなどのミネラルをしっかり摂りましょう。
マグネシウムを多く含んだナッツ類を砕いてサラダに振りかけて食べるのもひとつの方法です。
また、飲み物としては硬度の高いミネラルウォーターやスポーツドリンクなどがおすすめです。

ナッツ入りサラダ
食事面では、ミネラルを補充して炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミンをバランス良く摂ることを心がけましょう。
ただし、マグネシウムが豊富だからといってピーナッツを一袋食べきるのは、塩分や脂質の取り過ぎになるのでおすすめできません。
単一の食品からの摂取または特定の食品の過剰な制限は止め、バランス良く摂取することがもっとも重要です。

まとめ

マグネシウムは人体に必要なミネラルではありますが、欠乏や過剰もよくなく、医師の指導なしににがりやサプリで過剰に摂取するのは危険です。
残念ながら、にがりでダイエットに成功したという口コミは、下痢で一時的に水分不足の状態で体重が減っただけと考えられますし、ダイエットとしての効果があるとは医学的にも確認されていません。(国立健康・栄養研究所が危険であるとする見解を出しています)

とはいえ、適量のマグネシウムの摂取は健康にも肥満解消にも大切です。
今回紹介した食事やアドバイスを参考にして、健康的なダイエットを目指してください。

【記事の監修に関して】

この記事の医学的な部分に関してはKYG医療会が監修し、栄養学的な内容に関してはKYG協会の管理栄養士が監修を行っています